―― バキバキ! メキィィ・・・!
絶え間なく響く壮絶な破壊音。
床はあちこち噛み砕かれて大穴が開いていき、のたうつ巨大な胴はどんどん船体を破壊していく。
このままじゃ船が壊されてしまう!
しかもこの重量が好き勝手に跳ね回っているせいで、さっきから船のバランスが・・・!
船は波に翻弄される木の葉のように大きく上下左右に揺れていた。
こんな状態ではとても普通に立ってはいられない。
逃げ回りながら何度も尻もちを付き、ズズーッと滑り、転がってしまう。
マット運動みたいにゴロゴロ回転しながら、懸命に床にへばり付いた。
うわあ! う、海に落ちるぅー!
「里緒! 権田原! 絶対に海へ落ちるな! 落ちたら死ぬぞ!」
破壊音に混じって、どこからか浄火の叫び声が聞こえてくる。
落ちるつもりはさらさら無いけど、これじゃ振り落とされちゃうよお!
あたしはヤモリじゃないんだから、へばり付くにしたっておのずと限界があんのよ!
それにこのままじゃ、海に落ちる前にウツボに食われる!
それかこの巨体に潰されて、ペラッペラに薄く押し伸ばされちゃう!
ディズニーアニメキャラじゃあるまいし、そんな姿になるのはゴメンだよおぉ!


