「支配? 異形のモノが神器を動かしているの?」
「コイツは船に乗った人間の思考に同調するらしい。そうして目的地まで運んでくれるんだとさ」
「異形のモノが人間の命令をきいているってこと?」
そんなことってあるのかな?
門川の屋敷内の生き物みたく、人間の都合の良いように改良されているの?
しどけなく浄火の胸にもたれかかり、熱心に彼を見上げているヘビ女・・・というか、ヘビ少女。
その首には黒く太い首輪が嵌められていた。
表面に見える白い模様は、良く見ればビッチリ彫り刻まれた文字。
梵字? 漢字? その組み合わせみたいな。詳しくは分かんないけど。
きっとこの術具によって、人間に支配されているんだろう。
「・・・に、してもずいぶん懐いてるね。あんたに」
「そうなんだよ。最初に船に乗った時から、この調子なんだ」
ヘビ少女は白い頬をほんのり赤く染め、浄火をじっと見つめている。
そのウットリした表情は、懐いているというよりもむしろ。
「浄火に恋してるみたいなんだけど」
「バカ言うなよ。異形のモノが人間に恋なんかするわけねえだろ」
浄火は一笑に伏す。
んー。普通に考えればそれは確かにそうだけど、でも。
一途で切なげな、その視線。
熱のこもった態度と表情は、どうみても恋する初々しい少女そのものだ。
・・・下半身は爬虫類だけど。


