神様修行はじめます! 其の四


真っ黒な髪はとても長くて、足首にまで届いている。


身に付けている着物は、髪の色とは対照的に真っ白な単衣の着物。


その袖口からは、女性らしい白く華奢な手首がのぞいていた。


そして、ここが一番のネック。


着物の裾から伸びる足が・・・・・・


人間の足じゃない! これ、ヘビの尾だ!


ビッチリとウロコに覆われた、ヘビ柄特有の斑紋。


ニシキヘビみたいな極太なそれが、ウネウネと床の上でとぐろを巻いている。


リアルな質感が気持ち悪くて吐き気をもよおしてしまった。


ぐえぇ、グロテスクな大蛇の存在感!


もしかしてコイツって上半身が人型で、下半身がヘビ型の異形のモノなの!?


―― スッ・・・


浄火の胸にうずめられていた顔が、上を向いた。


げっ!? 『実録! これがヘビ女の素顔だ!』ですか!? ・・・うわ、見たくないー! 


ビビったあたしは、その素顔を見て更に別の意味で驚いてしまった。


それは・・・意外なほど美しい少女の顔だったから。


着物に負けないほどの白い肌と、滑らかな頬。


紅を差しているように赤く色づく唇。


黒目がちな両目を縁どる、長いまつ毛。


なんとも情緒深い美貌の、可憐な少女だ。


「こいつが全てのヘビを支配して、この船を動かしているらしいんだ」


思わず見入っているあたしの耳に、浄火の説明が聞こえた。