真っ黒な髪はとても長くて、足首にまで届いている。
身に付けている着物は、髪の色とは対照的に真っ白な単衣の着物。
その袖口からは、女性らしい白く華奢な手首がのぞいていた。
そして、ここが一番のネック。
着物の裾から伸びる足が・・・・・・
人間の足じゃない! これ、ヘビの尾だ!
ビッチリとウロコに覆われた、ヘビ柄特有の斑紋。
ニシキヘビみたいな極太なそれが、ウネウネと床の上でとぐろを巻いている。
リアルな質感が気持ち悪くて吐き気をもよおしてしまった。
ぐえぇ、グロテスクな大蛇の存在感!
もしかしてコイツって上半身が人型で、下半身がヘビ型の異形のモノなの!?
―― スッ・・・
浄火の胸にうずめられていた顔が、上を向いた。
げっ!? 『実録! これがヘビ女の素顔だ!』ですか!? ・・・うわ、見たくないー!
ビビったあたしは、その素顔を見て更に別の意味で驚いてしまった。
それは・・・意外なほど美しい少女の顔だったから。
着物に負けないほどの白い肌と、滑らかな頬。
紅を差しているように赤く色づく唇。
黒目がちな両目を縁どる、長いまつ毛。
なんとも情緒深い美貌の、可憐な少女だ。
「こいつが全てのヘビを支配して、この船を動かしているらしいんだ」
思わず見入っているあたしの耳に、浄火の説明が聞こえた。


