神様修行はじめます! 其の四


今度こそ死ぬ! ・・・と、ギュッと目をつぶった瞬間、体がドスンと何かに受け止められた。


強い衝撃に、一瞬息が止まる。


・・・恐る恐る目を開けると・・・


「しま子っ!」

「うああぁぁ~~!」


帆の下で、あたしをしっかりと受け止めてくれたしま子の顔があった。


その心配そうな顔を見て、あたしはようやく本当に安心する。


張りつめていた気が抜けて泣きベソをかいてしまった。


「し、しま子ぉぉ! すっごく怖かったよおぉぉ!」


「う、うがあ! がああうぅぅ~~!」


もうやだ! なんかあたし、毎回空を飛ばされてる気がするんだけど!


本当に絹糸に飛空術かなんか習っとかないと、いつか絶対墜落死しちゃうよぉ!


しま子と抱き合いながらオイオイ大泣きしていると


「アマンダ! 大丈夫ですの!?」

「里緒! 無事か!?」


ふたりが大急ぎで駆け寄ってきてくれた。


「うん、大丈・・・」


と返事をしたあたしの目に不思議なものが見えて、ギョッと言葉を飲み込んだ。


人が・・・甲板を這っている・・・?


甲板の上を、長い黒髪を垂らした人間がズルズルと腹ばいで移動している。


手足を使う様子もなく、グネグネと蛇行しながら、あっという間にふたりの背後に近づいた。


そしてヘビが獲物に食らいつくかのごとく、素早く上体を起こして飛びかかってきた。