お岩さんも調子を合わせてくれたのか、明るい声で答えてくれた。
「わたくしも、海へは滅多に行く機会がありませんわ」
「今日は天気もいいし、きっと青々として綺麗だろうねー」
「・・・・・・青い?」
浄火が訝しげな声で聞き返してきた。
「青いって、何がだ?」
「何って、海の色がよ」
「はあ? 海の色が青い??」
浄火の不可解な反応に、あたしとお岩さんは顔を見合わせる。
・・・あたしなんか変なこと言ったっけ? 青いよね? 普通、海って。
「あ、天気が悪い日とかは、灰色とかになっちゃうけど」
「天気が悪いと色が変わる? なんだよそりゃ?」
「だから、太陽光の散乱が・・・って、あたしも詳しくは知らないけどさ」
「なんで空の天気と、陸の海の色と関係があるんだよ?」
「いやだから、あたしも詳しくは・・・」
―― ズルッ!
突然、あたしの足首になにかが強く巻き付いた感触がした。
それに気がつくのと、足を強く引っ張られるのと同時だった。
―― ドスンッ!
ひっくり返されるように派手にその場にスッ転んでしまう。
「いててっ!」
したたかに床板に全身を打ちつけ、あたしは顔をしかめた。


