神様修行はじめます! 其の四


―― ズズズ・・・ギギギ・・・


巨大な宝船は大きく軋む音をたてながら、地面の上をひた走る。


なにしろデカいもんだから、小回りがまるできかなくて。


ちょっとした木なんかの障害物は、その巨体でなぎ倒しながら進んでいた。


バキバキと響く破壊音も迫力満点。耳障りなほどだ。


「海まで、そう時間はかからないはずだ」


浄火が進行方向を眺めながら言った。


そしてチラリとお岩さんに視線を向ける。


「・・・本当にいいんだな? これで」


セバスチャンさんにも、里の誰にもなんにも言わずに、こんな暴挙に出てしまった。


その事を言っているんだろう。


「ええ、いいのですわ。これで」


お岩さんはあたしの胸から顔を離し、うつむきがちにゴシゴシ手で頬を拭いた。


そして、スッと前を向く。


その目は迷い無く、真っ直ぐ進むべき方向を見ていた。


「そうか。・・・なら、いいんだ」


「あのさ、あたしさ、実はこっちの世界の海って初めてなんだよねぇ!」


重くなってしまった場の空気を変えようと、あたしはわざと明るい声を出した。