神様修行はじめます! 其の四


あたしと彼は、すれ違ってしまった。


彼の心情は理解できたけど、どうしてもふたりの心は重ならなかった。


だからあたしに向かって手を伸ばす彼を、置き去りにするしかなかった。


「お岩さん・・・」


あの時のお岩さんがしてくれたように、あたしも彼女の体を強く抱きしめる。


・・・同じだね。おんなじなんだ。


あたしたちは同じだよ、お岩さん。


お岩さんの気持ち、手に取るように分かるよ。


「あたしがついてるからね。あたしがきっと守るからね。安心して」


「アマンダ・・・!」


お岩さんも、あたしの体をギュッと抱き返してきた。


腕にこめられた苦しいほどの力に、彼女の心の痛みと決意が現れている。


・・・・・・常世島へ、行くんだ。


行って事実を手に入れるんだ。


たとえそれが望まない現実であったとしても、確認するより他にない。


確かな答えを手に入れなければ、一歩も前へは進めないから。


前へ進めなければ・・・心は、永遠にすれ違ったままになってしまうから・・・。


あたしとお岩さんは、お互いを支え合うようにずっと抱きしめ合っていた。


そんなあたしたちを乗せて、船はあっという間に里から遠ざかる。


そして海へと向かって行った。


まだ見たことのない、こちらの世界の不思議な海へと・・・。