神様修行はじめます! 其の四


「軽挙妄動は、おつつしみ下さい! お戻りください!」


懸命に船に追い付こうとするセバスチャンさん。


でも意外なほど船の速度は速くて、どんどん引き離されていく。


お岩さんは、泣くのをこらえながらその姿をじっと見つめていた。


「ジュエル様!」


離されながらも彼は諦めない。


「ジュエル様! ・・・岩!」


大声で叫びながら、必死になって全力で走り続けている。


「岩! 戻って来い! バカな真似はよせ!」


「・・・嫌ですわ! 戻らない!」


お岩さんが激しく首を横に振り、拒絶した。


「あたし・・・あたし、遥峰のことが好き!」


涙声でお岩さんが叫び返す。


「だから行くの! 行かずにはいられないのよ! 許して!」


セバスチャンさんが走りながら片手で素早く印を切った。


―― ボコボコッ!


彼の足元の地面を割り、植物のツタが勢いよく飛び出す。


ビュルルッと風を切る音と共に、ツタが船へ向かって伸びてくる。


その先端が、今にも船尾に絡まる瞬間・・・


船底のヘビたちが、鋭い牙でツタをズタズタに噛み切った。