「おおぉ、すごい! 本当に前へ進んでるよ!」
ヘビの恐怖も一瞬忘れて、あたしは感嘆の叫び声をあげた。
初めて見た時は、なんで船が土の上を進んでいるのか不思議だったけど。
全員のヘビが一致協力して、腹筋運動で船を前進させてたのかぁ。
理屈が分かってますます感心しちゃう。
なるほどねぇ。これだけの大きさの船でも楽に動かせるほどの、大量のヘビ・・・
・・・・・・う。また考えちゃった。
ど、動力源の存在のことは、今のところは忘れておこう。
「ジュエル様っ!?」
船の後方から叫び声が聞こえてきた。
この声は・・・セバスチャンさんだ!
お岩さんがハッとして、船の縁から身を乗り出すようにして下を確認する。
そして船尾へ向かってバタバタと走り出した。
あたしと浄火も焦ってお岩さんの後を追う。
「もうバレちゃったんだ。邪魔されたらどうしよう」
「その心配はないはずだ。神器に手出しするような、バカな男じゃねえだろ? あいつは」
船尾の縁の、サンゴ細工にもたれ掛りながら、お岩さんは食い入るように下を見下ろしていた。
その一途な視線の先には・・・
「ジュエル様! 何をなさっておいでなのですか!?」
彼女の想う人が血相を変えて、船に追いすがるように走っていた。


