神様修行はじめます! 其の四


「おおぉ、すごい! 本当に前へ進んでるよ!」


ヘビの恐怖も一瞬忘れて、あたしは感嘆の叫び声をあげた。


初めて見た時は、なんで船が土の上を進んでいるのか不思議だったけど。


全員のヘビが一致協力して、腹筋運動で船を前進させてたのかぁ。


理屈が分かってますます感心しちゃう。


なるほどねぇ。これだけの大きさの船でも楽に動かせるほどの、大量のヘビ・・・


・・・・・・う。また考えちゃった。


ど、動力源の存在のことは、今のところは忘れておこう。


「ジュエル様っ!?」


船の後方から叫び声が聞こえてきた。


この声は・・・セバスチャンさんだ!


お岩さんがハッとして、船の縁から身を乗り出すようにして下を確認する。


そして船尾へ向かってバタバタと走り出した。


あたしと浄火も焦ってお岩さんの後を追う。


「もうバレちゃったんだ。邪魔されたらどうしよう」


「その心配はないはずだ。神器に手出しするような、バカな男じゃねえだろ? あいつは」


船尾の縁の、サンゴ細工にもたれ掛りながら、お岩さんは食い入るように下を見下ろしていた。


その一途な視線の先には・・・


「ジュエル様! 何をなさっておいでなのですか!?」


彼女の想う人が血相を変えて、船に追いすがるように走っていた。