ふりしぼった勇気も虚しく、全身が石膏像のように硬直してしまう。
ひいぃぃ・・・。恐怖のあまりに白目剥いちゃう・・・。
腰から力が抜ける。後ろにバタンと引っくり返ってしまいそう。
「し、しま子。あたしが気を失ったら、後はよろしく・・・」
「うああ~~」
結局、情けないあたしを見かねたしま子が助けてくれた。
しま子の腕に抱きかかえられながら、ヘビのエスカレーターをのぼる。
両目をギュッと閉じて、下を見ないよう必死に努力した。
ヘビなんかいない。どこにもいない。一匹もいないったら、いない・・・。
・・・と自己暗示をかけつつ、やっとのことでお岩さんと浄火が待っている甲板に到着。
しま子の腕から降りながら、足元の木の感触に心底ホッとした。
よ、よかった。甲板は普通の板だ。ヘビじゃない。
でもこの板一枚の下は、大量のヘ・・・う、わ、忘れよう。
―― ズズゥゥ・・・
うわっ、船が動き出した!?
あたしが船に乗るのを待っていたかのように、いきなり船が振動し始める。
その大きな揺れに尻もちをつきそうになった。
見れば、周囲の景色がゆっくりと後方へ動いている。
宝船が地面の上を移動し始めているんだ。


