その端が、あたしたちの足元まで降りてきた。


まるでマスゲームのような整然とした動きに目を見張ってしまう。


ホントだ・・・。ヘビ、賢いかも・・・。


「さあ、行くぞ。これに乗るんだ」


「これに乗るの!? カンベンして!」


あたしの悲鳴をよそに、浄火がサッサと先へ踏み出す。


階段に足を乗せたかと思うと、彼の体が自動的にすぅっと上へのぼっていった。


ヘビが自分の腹筋で浄火を移動させてるんだ。


「ひえぇぇ、ヘビのエスカレーター・・・」


「んまあ! なんて便利なのでしょう!」


目を輝かせるお岩さんの横で、あたしは顔面から血の気が引く。


ヘビのエスカレーターっていうより、あたしには悪夢への階段にしか見えない・・・。


これに乗るって、どんだけハードル高いの?


「里緒、急げ。子作りマシーンが来ちまうぞ?」


「アマンダ。やっぱり島へはわたくしがひとりで・・・」


「い、いいい行くよ! 行きます!」


ゴクリと生ツバを飲み込むあたしの頭上から、ふたりの声が聞こえてくる。


友情がヘビなんかに負けるわけにはいかない!


お岩さんのためなら、生理的嫌悪感もなんのその!


さあ、あたし、勇気をふりしぼって!


と、片足を乗せた瞬間。


足の裏に伝わる不気味な生命反応に、怖気がぞわわぁっと襲ってきた。