「・・・行こう。島へ。今すぐに」


浄火の声が真剣味を帯びる。


「島へ行けば、きっと答えが見つかるはずだ」


あたしとお岩さんは、揃ってうなづいた。


お岩さんとセバスチャンさんの事実を知っている産婆さんは、島にいる。


門川で起きているらしい異変の原因が、島にあるかもしれない。


あたしは門川へ戻れなくても、島へ行けば門川君の力になれるかも。


それに事実が分かれば、今度こそ浄火も因業ババの本性に気がつく。


あたしたちの望む全ての答えは、常世島に。


絹糸の心配は分かるけど、やっぱり島へ行くべきなんだ。


・・・行こう。島へ!


「しま子」

「うああーー」


少し離れた場所から、黙って事の成り行きを見守っていたしま子が返事をする。


ドスドスと近寄ってきて、あたしをじっと見下ろした。


「しま子も島へ一緒に行ってくれる?」


未知の場所。何が起こっているのか分からない。


無事に到着できる保証すらないし、危険なことが待っている予感がする。


だから無理強いはできないけど・・・。


「できれば力を貸してほしいんだ。助けてほしいの」


「うああ~~」


しま子はコクコクうなづいた。そしてお岩さんに向かい、スッと右手を差し出す。


その手には・・・一枝の桜が握られていた。