あたし達はウグイスが飛び去った空の彼方をボーッと眺める。


「あぁ、そういえば時間がきたら強制的に元に戻っちゃう、とか言ってたっけ」


「術の時間切れってことか?」


「また絶妙のタイミングで切れたものですわねぇ」


ほんとだ。ちょうどこれから本題に入るとこだったのに。


門川で何が起きているのか聞きそびれてしまった。


「ババァ絡み、とか言ってましたわよね?」


「信子ババのことか? おい、まさか島にも問題が起きてるんじゃないだろうな?」


「その可能性はあると思うよ?」


今この時期に重なるようにトラブルが発生したんだ。


それに因業ババが噛んでいるとなれば、常世島にもかかわっている可能性は高い。


利用するだけ利用してから、味の無くなったガムみたいにポイ捨てするつもりかも。


「実際、危うく端境の一族は、ババに消されるところだったんだから」


「おい、冗談じゃねえぞ? これ以上島民が犠牲になるのはごめんだぜ」


浄火が珍しく不安そうな顔になった。


次々と起きる長老たちの怪しい動きに、さすがに不安になってきたらしい。


「信子ババは、島を救うって確かにオレに約束したんだ」


「だから言ったじゃん。あの因業ババを信用するなって」


「ババァの言葉は、アンコウの頭についてる疑似餌と同じですわ。信じて近寄ったら丸飲みされますわよ」