神様修行はじめます! 其の四


「おお! 待ちかねておったぞ! 天内の娘よ!」


一歩踏み入れるや否や、座敷の前方から声をかけられた。



「よしよし、よくぞ参った! 天内の娘!」


「遠慮せずともよい! さあ中へ中へ!」


「ほれ、もそっとこちらへ来るがよい!」



・・・・・・・・・・・・。


へ?



あたしはその場に立ち止まり、キョトンと目を丸くした。


なぜか当主たちが、すっげー上機嫌な表情であたしを見てる。



な、なに? この全員一丸となった歓迎ムードは。


まるで国際大会で優勝した選手の、凱旋報告会だよ。


・・・・・・うさんくさい。


ひじょーに、うさんくさい。


中年男の微笑みって、ますます気持ち悪いんですけど。



すぐそばの空いている場所に、凍雨くんが移動して座った。


その隣に、イラついてる塔子さんと、心配顔のマロさんが座っている。


塔子さんが、さっそく小声で凍雨くんに噛みついた。



「ちょっと! 逃がせって言ったのに、なんで連れてくるのよ!」


「そのつもりだっだけど、天内さんが言うこと聞いてくれなかったんです!」


「んもう! どうするのよ!」



塔子さんがあたしをギロッと睨んで、口パクした。



『こ・の・バ・カ・む・す・め・がぁ ! 』



う・・・怖い。塔子さん、シンメトリー青筋立ってる・・・。


だってぇ、門川君を置いて逃げ出すわけにいかないよ!


そんな怒んないでよぉっ!