神様修行はじめます! 其の四


「分かってるよな? オレが乗らなきゃ島へは誰も渡れな・・・」


「てええぇぇーーいぃ!」


―― ビシィィッ!


お岩さんが奇声をあげて、あたしの手をつかんでいる浄火の手首に空手チョップした。


浄火は悲鳴を上げて手を離し、後ずさる。


「・・・いってええーーー!」


「感心するほど恥知らずな男ですわね! 人の弱みに付け込む極悪人!」


「な、なにすんだよ怪力女!」


「権田原の女は、農作業で鍛えてますのよ! ヘタに手を出したら、あなた死にますわよ!?」


「オレはお前にゃ一切、手なんか出してねえよ!」


「アマンダ、迷うことはありませんわ。門川へお戻りなさい」


お岩さんは浄火へ向けていた険しい表情とは一変して、穏やかにあたしに話しかけてきた。


「島へはわたくしひとりで行きます。これはわたくしの問題ですもの」


「待て、岩よ! お前が島へ行くことも許さぬ!」


「ベルベットちゃん、何と言われようとわたくしは行きます。行かなければならないの」


「頼むから冷静になれ! 岩!」