「自分でも悩んでおるようじゃ。この激情は何なのか? と」
それは、そうだろう。
恋愛感情すら明確じゃない彼が、いきなり嫉妬なんて理解できないだろう。
「じゃからこそ、小娘を迎えに来たのじゃ。お前の手で永久の背中を押してやれ」
「絹糸・・・・・・」
「お前でなければならぬのじゃ。永久の心が芽吹くためには」
・・・門川君の心は揺れている。
浄火の存在がきっかけとなって、激しい化学反応を起こしている。
そこから・・・何かが生まれ、飛び出しかけているんだ。
あたしへと向かって。
そう思うと、指の先まで痺れるような甘い痛みが駆け抜ける。
あたしの頭と心の中が、門川君で一杯になってしまった。
いつも遠くを見ているような、メガネの奥の冷静なまなざし。
冷たい言葉を吐く時の、つれない態度。
照れて顔をそむける時に見える、ほんのり赤く染まる耳。
門川君、門川君、門川君・・・。


