絹糸はいったん言葉を切り、噛んで含めるように言った。
「お前に会いたくてたまらないからじゃよ。永久は、どうしようもなくお前を欲しておるのじゃ」
―― ドキン・・・!
絹糸の言葉が、あたしの耳からダイレクトに心臓へ飛び込んだ。
あたしの胸を打ち鳴らし、熱いざわめきとなって全身に広がっていく。
門川君が・・・あたしに会いたくてたまらない?
心臓がトクトクと逸る音を聞きながら、あたしは真剣に耳を傾ける。
絹糸が話す、彼の様子に。
「かなり荒れておるわい。浄火が献上した手みやげの茶碗を、思い切り床に投げつけて叩き割りおったわ」
「・・・えぇぇ!? た、叩き割ったぁぁ!?」
そんなバカな!
あの冷静沈着な門川君がそんな乱暴なことをするなんて、たとえ目の前で見たって信じられないよ!
それじゃ、まんまお岩さんじゃんか!
そんなのぜーったいに、ありえない! 天変地異の前触れじゃないの!?
実は今、門川の地中深くで地殻変動でも起きてるとか!?
「浄火の存在に、無意識に嫉妬しておるのじゃよ」
「嫉・・・・・・」
門川君が・・・やきもちをやいてる・・・の・・・?


