「あのなぁ、船を手に入れるまではいいとして・・・」
「ちっとも良くないわい!」
「その後は? どうやって船を動かすつもりだよ?」
・・・・・・へ?
どうやって、船を動かす・・・・・・?
浄火に言われて、ハタと気がついた。
そ、そうか。動かさなきゃ動いてくれないんだ。船って。
当然ながらあたし、船を動かした事なんて一度も無い。
「・・・ど、どうしよう」
「ほれ、どうもならぬじゃろうが。諦めろ」
「もういっそ、乗組員ごとハイジャックするしかないよね?」
「どこまでお前は犯罪者の道を突き進むつもりじゃ!」
「心配いらねえよ。オレがいる」
浄火がニヤリと自信満々に笑った。
「乗ってみて分かったが、あの船は特殊なんだ。島出身のオレが乗れば、勝手に島まで運んでくれるはずさ」
「・・・・・・ほんと!?」
「ああ。経験者を信じろ」
得意気な浄火の表情に、あたしはすっかり有頂天になった。
ああ、浄火がいてくれて本当に良かった! これも天の采配!?
ほら、やっぱり島へ行くのは天命なんだよ!
「ありがとう浄火・・・・・・」
「ただし、ひとつ条件がある」
浄火が人さし指をピンと立てて、あたしの言葉を遮った。
「里緒も一緒に島までついて来ること。でなきゃオレは船に乗らねえ」


