「は、鼻に穴が開いたらどうすんのよ!」
「穴なら最初からふたつも開いとるじゃろうが! お前はどういう了見なのじゃ!」
「なによ! なんの文句があるってのよ!」
「お前の脳みそは、スポンジ状にスカスカか! そもそもなぜ自分が権田原へ来たのか、もう忘れたか!」
・・・・・・・・・・・・。
あ。
そ、そういえばあたしって・・・。
常世島へ連れ込まれないために、仲間が知恵を絞って権田原へ避難させてくれたんだっけ。
・・・・・・あー・・・・・・。
「アマンダ。ありがとう。あなたの気持ちはとても嬉しいですわ」
お岩さんの穏やかな声に、あたしはぎこちなく顔を向ける。
いくぶん元気を取り戻したような表情で、お岩さんは明るく言った。
「心配は無用ですわ。島へはわたくしがひとりで行きます」
「そんな、お岩さん!」
「こりゃ岩! お前まで何を言い出すか!」
「わたくしだって真実を知りたい。知る権利がありますわ」
「じゃからといって、長老の船を当主が盗むなどと・・・!」
「わたくしと結婚したいなら、船くらい結納品として寄こせと言ってやりますわ」
「おいちょっと待てよ。お前ら肝心のことが抜けてるぞ?」
浄火が話に割り込んできた。


