そう言って笑って、あたしは絹糸としま子に話しかけた。
「絹糸、しま子、一緒に行ってくれるかな? 門川君のいる所にさ」
絹糸が無言で立ち上がり、しなやかに歩き出す。
しま子も小人さんたちを体から降ろして、立ち上がった。
小人さんたちは、心配そうな様子でこっちをジッと見上げている。
「大丈夫だよ。行ってきます」
あたしはヒラヒラ手を振り、絹糸の後を追って歩き出した。
すぐ後をしま子がついて来る。
凍雨くんが「あぁ、もう!」と声を上げて、その後をついて来た。
全員そろって大広間へ向かう。
そこで、何があたしを待っているかは分からない。
でも行くんだ。だってそこに門川君がいるんだから。
長い長い廊下を渡り、閉ざされたふすまの前に立った。
若い術師がふたり、畏まって控えている。
ここが大広間。この雄大な、門と川が描かれた日本画の向こう側。
「開けよ」
絹糸の声に、音も無くふすまが左右にスゥッと開く。
整然と並び座っている、大勢の当主たちの視線があたしに一気に集中した。
思わず、うっと怯んでしまう。
広間を埋め尽くす中年男の群生。
・・・異常発生したカエルの集団、連想しちゃった。
見つめられちゃったよぉ。うえ、気持ち悪ぅ~~。
ま、負けるなあたし! 景気よくいこう!
グッと腹の下に力を込め、肩に力を入れる。
ドスドスと足音も荒く、あたしは中へと踏み込んだ。


