神様修行はじめます! 其の四


そう言って笑って、あたしは絹糸としま子に話しかけた。


「絹糸、しま子、一緒に行ってくれるかな? 門川君のいる所にさ」



絹糸が無言で立ち上がり、しなやかに歩き出す。


しま子も小人さんたちを体から降ろして、立ち上がった。


小人さんたちは、心配そうな様子でこっちをジッと見上げている。



「大丈夫だよ。行ってきます」


あたしはヒラヒラ手を振り、絹糸の後を追って歩き出した。


すぐ後をしま子がついて来る。


凍雨くんが「あぁ、もう!」と声を上げて、その後をついて来た。



全員そろって大広間へ向かう。


そこで、何があたしを待っているかは分からない。


でも行くんだ。だってそこに門川君がいるんだから。



長い長い廊下を渡り、閉ざされたふすまの前に立った。


若い術師がふたり、畏まって控えている。


ここが大広間。この雄大な、門と川が描かれた日本画の向こう側。



「開けよ」


絹糸の声に、音も無くふすまが左右にスゥッと開く。


整然と並び座っている、大勢の当主たちの視線があたしに一気に集中した。


思わず、うっと怯んでしまう。



広間を埋め尽くす中年男の群生。


・・・異常発生したカエルの集団、連想しちゃった。


見つめられちゃったよぉ。うえ、気持ち悪ぅ~~。


ま、負けるなあたし! 景気よくいこう!



グッと腹の下に力を込め、肩に力を入れる。


ドスドスと足音も荒く、あたしは中へと踏み込んだ。