神様修行はじめます! 其の四


お岩さんのためなら、コソドロの真似でもなんでもするもん。


違法行為なんてへっちゃらよ。


そもそも子作りマシーンの方から吹っかけてきた、ルール破りなケンカじゃん。


こっちが文句言われる筋合いなんか無いねー。へっ。



「船ひとつ貸さないケチくさい年寄りが、若い嫁なんか欲しがるなって言ってやる」


「大問題になるわい! 里にどれほどの迷惑がかかるか、考えんのかお前は!」


「里の人たちだって分かってくれるよ」


くちばしをパカパカ開いて激怒する絹糸。


その怒り顔と鼻先を突き合わせながら、あたしは言った。



お岩さんを犠牲にして、自分たちだけが助かろうなんて誰も思わない。


権田原はそんな一族じゃないよ。


全員一丸となって抵抗してくれるはずだ。


・・・本来ならそんなこと、セバスチャンさんだって分かってるはずなんだ。


ただ、彼の心に深く突き刺さったトゲが、彼を迷わせている。


そのトゲを抜いてあげることができたなら、その時はきっとセバスチャンさんだって・・・。



「だからこれは、里のためでもあるんだよ。絶対にやり遂げなきゃ!」


―― ブツッ!


絹糸の怒りの一撃。


あたしの鼻の頭に、絹糸のくちばしの先端が思い切りめり込んだ。


激痛に思わず悲鳴を上げる。


「いってーーーーー!」


猫パンチできないと思って油断したー!