脳裏に、金銀珊瑚で飾られた、あの豪奢な宝船が浮かんだ。
セバスチャンさんでさえ舌を巻いた、ウルトラ格式の高い船。
あの船で浄火が実際に海を渡って来た・・・?
ら・・・・・・
「ラッキーーーーー!!」
あたしはピョンと飛び跳ね、ガシガシ両手を振り上げて勝利のガッツポーズをした。
「らっきー、ではないわ! このバカ娘が!」
頭上から絹糸の声がする。
手の中に握られたウグイスが目を白黒させて、逆さま状態で怒っている。
「心臓が止まってしまうわ! やめい!」
「あ、ご、ごめん。つい嬉しくてさ」
だって、これで島へ渡れるじゃん!
産婆さんに会って話を聞けるじゃん! ほんとラッキーだよ!
あの子作りマシーンにはムカッ腹が立つけど、あの船で来たことだけは評価してやろう。
きっとこれもめぐり合わせってヤツだよねぇ。うん!
「お気楽に喜んでおるようじゃが、どうやってあの船を手に入れるつもりじゃ?」
ニコニコ顔のあたしとは対照的に、絹糸はすこぶる機嫌が悪そうだ。
「まさか長老が、あれほどの貴重品を貸し出すわけがなかろう」
「そんなの分かってるよ。ブン盗りゃいいじゃん」
「こりゃ小娘!」
「だってあの船でなきゃ行けないんでしょ? ならどんな手を使ってでも入手しなきゃ」


