八方ふさがりだ。打つ手がない。
お岩さんをこの窮地から救い出すことは、あたしにはできないの?
あたしはもどかしさのあまり、足元の土をイライラと蹴りつけた。
「これで理解できたであろう? じゃから島へ渡るのは早々に諦めて・・・」
「あるだろ? 船なら」
突然、浄火の飄々とした声が絹糸の言葉を遮った。
「・・・え? あるってなにが?」
「だから、あるだろ? 宝船ならこの里に」
「・・・・・・・・・・・・」
しばしの沈黙。
お岩さんが重い口調で浄火に反論する。
「なに仰ってますの? そんな貴重な船、この里には・・・」
「あるって。今なら。子作りマシーンの長老が乗って来たじゃねえか」
「・・・・・・あ」
「オレ、信子ババと一緒にあの宝船に乗って島から出て来たんだ」


