「ならなにか方法があるんじゃないの?」
「方法が無い、とは誰も言うておらぬ。行った者がいる以上は、その方法が当然ある」
「ほらあ! やっぱりあるんじゃん!」
「あの海を渡るには、海の狂いを無効化する特別な船が必要なんじゃよ」
「船?」
まあ、島へ行くんだから、妥当に考えて移動手段は船だよね?
その船に乗りさえすれば万事解決ってことかい?
別に難しいことはなにもないじゃん。
「じゃ、どっかでレンタルしてこようよ。その船」
「お前は相変わらず、単純な造りの脳みそをしておるのぅ」
絹糸が、わざとらしく深ぁ~い溜め息を吐いた。
「羨ましゅうて涙が出てくるわい」
「間違ってもホメ言葉じゃないんですけど。それ」
「狂った時空間を、物ともせずに突き進める船じゃぞ? どれほど価値ある船と思うておるか」
「知らない。どれほど価値があんの?」
「分かりやすく言えば、神器のようなものじゃ」


