神様修行はじめます! 其の四


「届かぬのじゃ」


「は? 届かない?」


「どれだけ船で進もうとも、空を飛ぼうとも、永遠に島までたどり着かぬのじゃよ」


絹糸の黒く丸い目と、あたしのキョトンと丸く見開いた目が合った。


・・・いくら進んでも、たどり着かない? 永遠に?


意味が分かんないんだけど。



「小娘、現世で『蜃気楼』や『逃げ水』という言葉を聞いたことはないか?」


「ある。目の前に建物や水たまりが見えているのに、どこまで行ってもたどり着かない現象だよね?」


「それと同じと考えても良い。それが常世・・・つまり、『海のかなた』の意味じゃ」


「・・・・・・・・・・・・」


「島までの空間も、海の水も、なにもかもが完全に狂っておるんじゃよ。じゃから永遠に島へは行けぬ」