でもそんな風に優しくされればされるほど、自分自身が情けなくなる。
里の人たちに感謝するほどに、自分の不甲斐なさが悲しくて・・・。
迷惑をかけたくなくて、里を出たのかもしれない。
・・・・・・『普通』 か。
『普通』って、いったい何なんだろうね。
こっちの世界では神の能力は普通のことだけど。
現世の世界では、そんな能力持っているのがバレようもんなら・・・。
考えただけで恐ろしい結果になる。
『普通』なんて、住んでる場所ひとつで180度変わっちゃうもんなんだ。
「常世島へ行ったとなれば、話を聞くことは不可能じゃな。諦めるよりほかにあるまい」
「ちょっと絹糸、そんな簡単に断言しないでよ」
何度も言う通り、お岩さんの人生がかかってるんだからね。
絹糸がなんと言おうが、あたしはとことんまで足掻きまくってやる。
得意だもんあたし。そーゆー人に嫌がられそうな悪あがきって。
「だいたい、何がそんなに不可能なのよ?」
そういえば、島への出入りの方法が厄介だとか聞いた気がするけど。
なにが厄介なの? 断崖絶壁に囲まれてるとか?
だったら絹糸がバビューンってひとっ飛びしてくれればいいじゃん。


