神様修行はじめます! 其の四


・・・うん。あの因業ババ相手に、ヘタに手ぬるい反撃は禁物。


これはかなり、面倒なことになりそうだ。


それに考えてみれば、あたし、逃げるわけにいかないよ。


きっとこれからまた、戦いが始まる。


門川君が狙われることになるんだ。



「それが分かっていながら、あたしだけ逃げるわけにいかないね」


「そうじゃ。どんなワナであろうと、受けて立たねばならぬ」


「ち・・・ちょっと待ってください!」



凍雨くんが会話に割って入った。


「ふたりとも、事情を知らないからそんな事が言えるんですよ!」


そしてガバッと立ち上がり、あたしの腕をつかんで引っ張る。



「逃げましょう天内さん!」


「やだ。逃げない」


「天内さん! お願いですから言うこと聞いてください!」


「あたしの役目は、門川君を守ることなんだよ?」


「分かってます! でも今回は逃げてください!」


「いったい何があったの? 事情を話してよ」


「そ・・・それは・・・・・・」



あたしの腕をつかむ、凍雨くんの手の力が急にゆるんだ。


そして視線をそらして、もごもごと口ごもってしまう。



こりゃあ・・・・・・よっぽどだね。


あたしにとって、かなり良くない状況になっているんだろう。


でもそれはきっと、門川君にとっても良くない状況だ。


やっぱり逃げるわけにはいかないよ。凍雨くんの気持ちは嬉しいけど。


「無理に説明してくれなくていいよ。聞いても聞かなくても、同じだもん」