神様修行はじめます! 其の四


「産婆だよ」


突然出てきた聞き慣れない言葉に、あたしはホケッとしてしまった。


は? サンバ? さんばって何それ?


「サンバって、サバのこと?」


「誰が青魚の話をしてんだよ。取り上げ婆だよ、取り上げ婆」


「取・・・ますます分かんないんだけど」


「なんだ、里緒は産婆を知らないのか? お産の手助けをする女の人の事だよ」


ああ、なんだ助産師さんのことか。


それならそうと言ってよ。


『産婆』だの『取り上げ婆』だの、どっかの妖怪の一種かと思っちゃったじゃん。



「なるほど。産婆は、後々のために赤ん坊の父親のことを聞くものじゃからな」


感心する絹糸に、浄火が得意そうに答える。


「だろ? しかも役目柄、聞いたことは誰にも口外しねえから」


「うむ。心に重荷を抱えた妊婦であれば、つい打ち明けてしまうやもしれぬのぅ」


それってつまり、医者の守秘義務みたいなもんか?


医者と患者の信頼関係のうえでなら、確かに可能性はあるかも!?