「あんた、聞いてたの!?」


「ああ、聞いてた」


「どっから聞いてたのよ!?」


「『岩と遥峰はのぅ・・・兄弟なんじゃよ』の部分から」


「最初っから聞いてたんじゃん!」


なんであんたがこんな所をウロついてんのよ!?


お岩さんの私室にいたんじゃなかったの!?


しかも盗み聞きなんて趣味が悪い!



「里緒を探してたんだ。そしたら・・・」


彼は言いにくそうに語尾を濁す。


「まあ・・・複雑な状況に遭遇しちまったわけさ」


そしてチラリとお岩さんを見た。


お岩さんが気まずそうに視線をそらして唇を噛みしめる。


あたしは浄火に詰め寄って襟元を掴み、怖い目をして脅しをかけた。


「浄火、いま聞いたこと誰かにしゃべったりしたら、タダじゃ済まないからね?」


「言わねえよ。安心しろ」


「ほんとだね? 誓えるね?」