「絹糸ってば、猫のくせしてあーんなカラスの小ジワにビビッてんの!?」
「そーですよ! 猫のプライドはどこ行ったんですか!?」
「うああ! うあ~~~!」
「ええい、デカイ連中が取り囲んで見下ろすでないわ! うっとうしい!」
ぶわっと毛を逆立てて一喝した後、絹糸はムスッとした声で説明した。
「あの女、何やらまた企んでおるぞ。手始めに、また小娘に狙いをつけたのじゃろう」
・・・またあたしがターゲット!? どんだけネチッこいの!?
あーやだやだ! 女もあんなになったらお終いだね!
「仮にお前が逃げたとしても、そんなことはあの女なら予想のうちじゃ」
「お見通しってこと?」
「お前が逃げた場合の、お次の罠も、すでに準備万端であろうよ」
確かに・・・・・・。
前回の戦いで、因業ババの罠は完璧だった。
四方八方に張り巡らされた、見えない蜘蛛の糸みたいに。
こっちがもがけばもがくほど、糸が手足に絡まるように計画されていた。
となれば、きっと今回も・・・・・・。
「逃げれば、おそらく余計に罠の糸に絡まることになるであろうよ」
・・・・・・・・・・・・。
ほんっとムカつくあのババーー!!
絶っっ対に、お姑さんにしたくない相手!
「冷蔵庫の中の卵の賞味期限まで、いちいちチェックして文句つけるタイプよ!」
「ただの嫁姑争いなら、賞味期限の切れた納豆でも食わせておけば済むがのぉ」


