神様修行はじめます! 其の四


一瞬沈黙して、ババは絹糸に向かって話しかけた。



「この娘は、いつもこんな調子なのか?」


「ふむ。小娘が人の話を聞かぬ、という点については間違いない」


「ちょっと絹糸! どっちの味方してんの!?」


「それで? お前今度はいったい、何をたくらんでおる?」



絹糸がのんびりと、後ろ足でカリカリ耳の後ろを掻く。


そして細く鋭い金色の目で、ババをジットリと見上げた。



「お前が絡んでおるなら、どうせ腹に一物あるのであろう? 信子(のぶこ)よ」



ババが、ふふっと含み笑いをする。


両の大きな目が、ニンマリ笑って絹糸を見返した。



「言っている意味が、まるで分からぬ」


「タヌキよのぉ・・・・・・」


「猫にタヌキ呼ばわりされる覚えは、ないが?」


「独り言じゃ。さて、小娘は我が連れて行くとしよう。信子、お前は先に戻っておれ」



えっ!? つ、連れて行く!?


絹糸、あたしを大広間に連れて行っちゃう気なのぉ!?



あたしは驚いて絹糸を見下ろした。


凍雨くんもビックリした顔で頭を上げ、慌ててまた平伏する。



「そうか。急げよ、絹糸」


ババはそう言って、あたしの方を見もせずに足早に去って行った。


お供の女性と術師たちがその後に続く。


それを見送り、一行が廊下の角を曲がり、姿が見えなくなった時点で・・・



「「・・・なんで!?」」


あたしと凍雨くんが、同時に絹糸に噛みついた。


ひどいじゃん! なにアッサリ白旗上げてんの!?