ここは当事者同士、ふたりきりの時間と空間が必要なシーン。
はい、ということで、お邪魔虫は迅速に退散します。
それでは、これにてさようなら。
内心アセりながらも、バレないようにゆっくりジリジリと後方に後退・・・
したのが、まずかった。
不自然にギクシャク動く気配を察知したのか、とつぜんお岩さんがバッと振り向く。
当然、あたし達と視線がバッチリ合ってしまった。
言い訳無用な状況に、あたしは心の中で悲鳴を上げる。
うわあ! どうしよう見つかっちゃった!
隠れたいのに隠れる場所がない!
ジュリエッタお願い! いっそあたしを土の中に引きずり込んでー!
慌てふためくあたしより、百倍は大きいショックを受けたろうお岩さん。
その場に彫像のように棒立ちになっている。
まつ毛一本も動かない目はセバスチャンさんを見つめていた。
ストップモーションの画像さながらにピクリとも動かない。
生きているのか心配になるほどだ。
でも生きてる証に、彼女の顔がみるみる真っ赤になる。
顔中の毛細血管が切れてしまうんじゃないかと思うくらい。
その表情がなによりも明確に語っていた。
今の言葉に、嘘偽りは無いと。
『自分は、あなたに真剣に恋をしているのだ』 と・・・。


