神様修行はじめます! 其の四


ここは当事者同士、ふたりきりの時間と空間が必要なシーン。


はい、ということで、お邪魔虫は迅速に退散します。


それでは、これにてさようなら。


内心アセりながらも、バレないようにゆっくりジリジリと後方に後退・・・


したのが、まずかった。



不自然にギクシャク動く気配を察知したのか、とつぜんお岩さんがバッと振り向く。


当然、あたし達と視線がバッチリ合ってしまった。


言い訳無用な状況に、あたしは心の中で悲鳴を上げる。



うわあ! どうしよう見つかっちゃった!


隠れたいのに隠れる場所がない!


ジュリエッタお願い! いっそあたしを土の中に引きずり込んでー!



慌てふためくあたしより、百倍は大きいショックを受けたろうお岩さん。


その場に彫像のように棒立ちになっている。


まつ毛一本も動かない目はセバスチャンさんを見つめていた。


ストップモーションの画像さながらにピクリとも動かない。


生きているのか心配になるほどだ。



でも生きてる証に、彼女の顔がみるみる真っ赤になる。


顔中の毛細血管が切れてしまうんじゃないかと思うくらい。


その表情がなによりも明確に語っていた。


今の言葉に、嘘偽りは無いと。


『自分は、あなたに真剣に恋をしているのだ』 と・・・。