神様修行はじめます! 其の四


「・・・大変、御見苦しい所をお見せしてしまいました」


身を起こしたセバスチャンさんが、アスコットタイを直しながら謝罪する。


「申し訳ございませんでした。成重様、皆様」


「あ・・・いや・・・」


「ジュエル様を呼び戻して参ります。少々お待ちくださいませ」



肩口の埃を手で軽く払い、彼は優雅に立ち上がった。



「浄火様」


「・・・・・・あ?」


「わたくしめが席を外している間、成重様のご対応をお願いいたします」


「あ!? オレがかよ!?」


「よろしくお願いいたします」



丁寧に頭を下げて依頼しているわりには、しっかり問答無用。


そしてセバスチャンさんは、足早に部屋を出て行った。


丸投げされて情けない顔をしている浄火を尻目に、あたしも急いで後を追う。



「セバスチャンさん、あたしも行く!」


「お、おい里緒!? オレを置いていくなよ!」


「浄火、後はよろしく!」


「よろしくされても困・・・おい、赤鬼まで行っちまうのか!?」


「うああ、うあああー」


「いや、だから、よろしくされても困るんだって!」



あたしとしま子とセバスチャンさんが、並んで廊下を小走りに進む。


お岩さん、どこに行ったんだろう?


まさか失踪とかするつもりじゃないよね?


いや、それならまだしも、あの子作りマシーンにジュリエッタ達をけしかけたりしたら、どうしよう。


・・・・・・・・・・・・。


それはそれで、見ものか。