神様修行はじめます! 其の四


なにその、肯定的なセリフは?


・・・まさかこんなヒドイ結婚を、お岩さんにさせるつもりじゃないでしょうね?


絶対にお岩さんを守ってくれるでしょう!?



祈るようなあたしの気持ちとは裏腹に、セバスチャンさんの言葉は、どこまでも現実的だった。



「この案なら、『一族同士の婚姻』という名目は果たされます。上層部も、その言い分なら飲むでしょう」


「ま、待ってよセバスチャンさん!」


「成重様には見返りとして、この権田原の自治を、これまで通り守っていただきます」


「十四番目の役立たずが、一族の婿という地位をいただけるのなら・・・父を裏切ることを約束しよう」


「お願いいたします。成重様の今後は責任をもって、ご面倒をみさせていただきますので」


「だから、ちょっと待ってってばふたり共!」



頼むから、もう決定事項みたいに話をずんずん進めないでよ!



「他の方法を考えようよ! 結婚以外の方法を!」


「届けを出されてしまった以上、結婚の撤回は不可能です。どうにもなりません」


「そ・・・んな・・・!」



冷静な表情のセバスチャンさんを、あたしは絶望しながら見つめた。


そんな・・・そんな簡単に言わないでよ。


分かってるの? これはあなたの大事なお岩さんの、最悪の危機なんだよ?


なのに、なんでそんな冷静に言えるの!?