なにその、肯定的なセリフは?
・・・まさかこんなヒドイ結婚を、お岩さんにさせるつもりじゃないでしょうね?
絶対にお岩さんを守ってくれるでしょう!?
祈るようなあたしの気持ちとは裏腹に、セバスチャンさんの言葉は、どこまでも現実的だった。
「この案なら、『一族同士の婚姻』という名目は果たされます。上層部も、その言い分なら飲むでしょう」
「ま、待ってよセバスチャンさん!」
「成重様には見返りとして、この権田原の自治を、これまで通り守っていただきます」
「十四番目の役立たずが、一族の婿という地位をいただけるのなら・・・父を裏切ることを約束しよう」
「お願いいたします。成重様の今後は責任をもって、ご面倒をみさせていただきますので」
「だから、ちょっと待ってってばふたり共!」
頼むから、もう決定事項みたいに話をずんずん進めないでよ!
「他の方法を考えようよ! 結婚以外の方法を!」
「届けを出されてしまった以上、結婚の撤回は不可能です。どうにもなりません」
「そ・・・んな・・・!」
冷静な表情のセバスチャンさんを、あたしは絶望しながら見つめた。
そんな・・・そんな簡単に言わないでよ。
分かってるの? これはあなたの大事なお岩さんの、最悪の危機なんだよ?
なのに、なんでそんな冷静に言えるの!?


