神様修行はじめます! 其の四


せめて頭の中で、引っくり返った因業ババの姿を想像した。


・・・・・・あ、ちょっとスッキリ♪



「来い」


聞き覚えのある声で、たったひと言。


それだけ言って、因業ババはクルリと背を向けた。


そして綺麗な姿勢でスタスタと、前を向いて歩いて行ってしまう。



こ、こら待て! それじゃますます足が届かないじゃん!


危険を察知して逃亡か!? この卑怯者!


沈没船の中のネズミかお前は!



「ちょっと! どこ行くのよ!」


ダンっと床板を踏み鳴らし、あたしは叫んだ。


因業ババは立ち止まり、顔をこちらへチラリと向ける。



「どこへ? 聞かずとも知っておろうが」


「そんなの知らないよ!」


「大広間だ」



あ、そっか。あたし大広間に呼ばれてるんだっけ。


うん。そーいや、そうだった。


・・・・・・じゃなくて!



「何の用があるっての!?」


「ここで聞かずとも、行けば分かる」


「理由を教えなきゃ、あたし絶対に行かないからねーだ!」



聞いたからって、行く気はないけどさ!


あんたが係わってると分かった以上、決定的に行きたくなくなったもん!


三歳児みたいに、床に寝っ転がって泣きわめいて拒否してやる!



あたしはアゴを突き出し、さも憎ったらしい顔を見せつけてやった。


凍雨くんが下からこっちを盗み見ながら、口をパクパク動かしている。


『がんばれ! 負けるな天内さん!』


・・・うん! 応援ありがとーー!