あちこち枝分かれしている暗い迷路を、ひとりで右へ左へウロウロする。
もう! あたしったら何やってんの!
こんな所でマゴマゴしている場合じゃないってのに!
やっとのことで部屋へ戻れた時には、もうだいぶ時間が過ぎてしまっていた。
掛け軸の入り口から、息せき切って転がるように室内へ飛び込む。
「お、お岩さん!」
中にいた浄火としま子が、揃ってこっちを振り向いた。
浄火は気まずそうな顔で、腕組みしながらあぐらをかいて座っている。
詳しい事情がまったく分からないしま子は、オロオロとあたしに救いを求めていた。
そして、お岩さんは・・・・・・
壁の押し入れのふすまに向かって、ヒザを抱えて座り込んでいる。
・・・・・・泣きながら。
こちらに向けている丸い背中が、とても哀しくて。
押し殺した泣き声が、すごく辛くて。
もう、あたしも我慢の限界で・・・。
成すすべも無く立ち尽くしたまま、一緒になって泣いてしまった。
こんなのって、ないよ。
ひどい。ひどすぎる。あんまりだ。
なんでお岩さんもあたしも、こんな目にあわなきゃなんないの?
本人の意思なんて、まったくおかまいなし。
なんの了承も無く、勝手に誰かの奥さんにされてしまうなんて。
こんな理不尽なことが許されてもいいの? ・・・いいわけないよ!
いつもいつもいつも、当然のようにあいつらは女を道具扱いするんだ!


