「すでに届け出を上層部に提出なされたと・・・!?」
さすがのセバスチャンさんも動揺を隠しきれない。
身を乗り出して長老に詰め寄る姿は、これまで見たことがないほど狼狽していた。
お岩さんなんて、もう顔面蒼白だ。
完全に顔から血の気が引いてしまっている。
あたしも、あまりの事態に頭がクラクラして倒れそうだった。
・・・上層部なんて、しょせんは長老の言いなり。
大物が希望する申請が通らないはずもない。
このじーさんが提出した時点で、申し出は受理されてしまったとみていいだろう。
あぁ・・・つまり、つまり・・・・・・
お岩さんは、もうこのジジィの・・・奥さんにされてしまった・・・・・・!
お岩さんがガバッと身を翻し、バタバタと四つん這いでこの場から逃げ出した。
(あ、おい権田原! 待て、落ち着け!)
浄火が急いでその後を追いかける。
あたしもフラつく頭を抱え、お岩さんの後を追いかけた。
ペタペタと天井板を這う手足に、汗がジットリと滲んで震えている。
どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・!
今にも泣きそうなあたしの耳に、じじぃの声が下から聞こえてきた。
「おや? どうやら天井裏に、大きなネズミがいるようじゃのぉ」
・・・・・・・・・・・・!
「大事な屋台骨を齧られては、大変じゃ。そうなる前に、害獣はすみやかに駆除せねばのぉ」
ふぉ、ふぉ、ふぉ・・・。
小馬鹿にするような笑い声。
・・・・・・・・・・・・。
最初っから気付いてやがったな!? この子作りマシーンじじぃがぁぁーー!!
あたしは髪の毛が逆立つほどの怒りを必死に押さえながら、とにかく急いでお岩さんの後を追った。


