神様修行はじめます! 其の四


・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・はい?


今・・・なんつったの? このじーさん。



室内に満ちる、奇妙に張りつめた空気を破るように、セバスチャンさんが微笑みながら口を開いた。



「長老様、さすが御冗談がおじょうずでいらっしゃいますね」


「いやいや、わしは本気じゃ。実はもう上層部の方へは、婚姻の申請書を提出しておる」


「・・・・・・は?」


「本音を言うとのぅ・・・ここだけの話じゃが」


長老は口元を白い扇子で隠し、コソコソと打ち明ける。



「お岩殿を、わしは以前から見初めておったのよ。ぜひとも、妻にしたいと思うておったんじゃ」



・・・・・・・・・・・・。


はあああぁぁぁーーーーー!!?



大声が出そうになったあたしの口を、浄火が慌ててバシッと手の平で覆った。


そして目を剥きながら小声で諌める。


(静かに! 向こうに聞こえるだろうが!)


(だ、だって、だって、だって!)


だってこんなバカな話、黙ってられないよ!


このじーさん、頭おかしいんじゃないの!? ボケが始まってるんじゃない!?


な、なにが・・・『見初めておった』 よ!


なにが、『ぜひとも妻にしたい』 よ!



・・・できるわけないでしょーがぁ!


自分の年齢と他人の迷惑を考えなさいよ!



「長老職を引退すれば、わしは、ただの年寄り。一族の格がどうのと案ずる必要もない。どうじゃ?」



・・・どうじゃ? じゃねーよ!


一刻も早く愚かな夢から覚醒して、己のあやまちに気付け!