・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・はい?
今・・・なんつったの? このじーさん。
室内に満ちる、奇妙に張りつめた空気を破るように、セバスチャンさんが微笑みながら口を開いた。
「長老様、さすが御冗談がおじょうずでいらっしゃいますね」
「いやいや、わしは本気じゃ。実はもう上層部の方へは、婚姻の申請書を提出しておる」
「・・・・・・は?」
「本音を言うとのぅ・・・ここだけの話じゃが」
長老は口元を白い扇子で隠し、コソコソと打ち明ける。
「お岩殿を、わしは以前から見初めておったのよ。ぜひとも、妻にしたいと思うておったんじゃ」
・・・・・・・・・・・・。
はあああぁぁぁーーーーー!!?
大声が出そうになったあたしの口を、浄火が慌ててバシッと手の平で覆った。
そして目を剥きながら小声で諌める。
(静かに! 向こうに聞こえるだろうが!)
(だ、だって、だって、だって!)
だってこんなバカな話、黙ってられないよ!
このじーさん、頭おかしいんじゃないの!? ボケが始まってるんじゃない!?
な、なにが・・・『見初めておった』 よ!
なにが、『ぜひとも妻にしたい』 よ!
・・・できるわけないでしょーがぁ!
自分の年齢と他人の迷惑を考えなさいよ!
「長老職を引退すれば、わしは、ただの年寄り。一族の格がどうのと案ずる必要もない。どうじゃ?」
・・・どうじゃ? じゃねーよ!
一刻も早く愚かな夢から覚醒して、己のあやまちに気付け!


