権田原は権力はないけれど、食糧という大きな武器を持っている。
門川君にとっても、力になってくれる大切な一族だ。
その力をもぎ取りたい。門川君を弱体化させて、一族を自分の手中にしたい。
でも権田原はしぶとく、強固な結束をもつ一族。
それにセバスチャンさんという、一筋縄ではいかない男が、しっかりと里を守っている。
だから内部から攻めるつもりだ。
自分の言いなりになる息子を一族の重要な地位に就け、内側から崩していくつもりなんだ。
・・・腹の底から、ふつふつと怒りが沸いてきた。
また、その手を使うつもりか。
自分の権力を思うさま悪用して、無力な者を道具のように利用する。
自分以外の人間の人生なんて、たとえそれが息子であっても知らぬ存ぜぬ、どーでもいい。
そのせいで、今までどれほどの人間が犠牲になって死んでいったことか!
お岩さんだって、そのせいで父親を失い、人生も狂わされたのに!
これ以上、まだ彼女から利益を搾り取ろうってわけ!?
そんなの絶対に許さないからね! 子作りマシーンめ!
「お申し出、恐懼感激。身に余る光栄なお話に心より御礼申し上げます」
セバスチャンさんが深く平伏して、礼を述べた。
「しかし、畏れ多くも長老様のご子息を迎えるなど、一族の格が許しません」
セバスチャンは謙虚に、でもしっかりと拒絶の意思を表す。
「わが一族が長老様のお顔に泥を塗ったとあっては、先祖代々の当主に顔向けができません」
「いやいや、こちらが望んでいることじゃ」
「いえ、あまりに分不相応。成重様のお格にも、差し障りがございます」


