神様修行はじめます! 其の四


お岩さんも驚いて、ピクリと体を震わせる。


あたしも音をたてて息を飲んでしまって、慌てて口元を手で押さえた。


は・・・? な、なにそれどういう意味?



「実はのぉ、つねづね権田原の一族とは、深い繋がりをもちたいと考えておったのじゃよ」


長老は、ショボショボの目で柔和に笑いながら話を続ける。


「ぜひとも、お岩殿をわが一族の嫁に欲しいと考えておったのじゃ」



お、おいおい、ちょっと待ってよ、おい、おじーちゃん!


あなた、あたしに難クセ付けて、里から引きずり出すために来たんじゃないの!?



あたしと浄火は、眉間にシワを寄せてお互いの顔を見合った。


そして、お岩さんの様子を伺う。


お岩さんは緊張した顔で、無言のまま成り行きをじっと見守っていた。


その張りつめた空気に、声をかけることもできない。



「岩殿が当主では、嫁にもらうことは叶わぬ。しかし、婿を取るというのであれば・・・」


「ご子息、成重様を、わが一族の婿にくださる・・・という事にございますね?」



瞬時に落ち着きを取り戻したセバスチャンさんが、息子の方を見た。


父親に似た、印象の弱い細い目の彼は、なにも言わずにうつむいたまま。


自己主張するでもなく、ただ黙って座っているばかり。


いかにも大物の父親に忠実な、操り人形そのものだった。



そうか、それでこの人を連れて来たんだ。


十四番めの、影の薄い、一族の後を継ぐ可能性なんてゼロの息子。


親の言いなりになるより他に、生きていく道は無い息子を。