「もちろん覚えておりますとも。成重(なりしげ)様」
セバスチャンさんが深く頭を下げ、挨拶をする。
成重と呼ばれた人は、それを見て嬉しそうに微笑んだ。
「この成重は、わしの十四番めの息子での。そなたと旧知と聞いて、見舞いに同席させたのじゃ」
「再会できて嬉しいよ、遥峰君」
「はい。お懐かしゅうございます」
じゅ・・・・・・十四番めぇ!?
なんつー肉食系男子! どんだけ産ませまくったの? このおじいちゃん!
い、いや待て。確か昔の日本には、これを凌駕する男がいたはず。
徳川11代将軍、家斉(いえなり)
側室に産ませた子どもの数、なんと50人以上。
マシーンだよ。ここまで人間離れしちゃうと、もう。
さすがにそれには遠く及ばないけど、このおじいちゃん長老も、そういう意味では大物かも。
それが役に立つ能力かどうかは疑問だけど。
・・・それにしても・・・。
この長老が、あたしにどんな用があって来たんだろう。
こんな穏やかそうな顔をして、どんな無理難題をふっかけてくるつもりなんだろうか。
「ときに・・・」
セキをしながら、長老がセバスチャンさんに切り出した。
あたしは、にわかに緊張する。
「ときに権田原の当主は、結婚の相手を探しているようじゃが?」
「さようでございます」
「まだ決まってはおらぬようじゃの?」
「はい。なかなか話がまとまらず・・・」
「ふむ。そこでじゃ、どうであろう? わが一族と婚儀を結ばぬか?」
セバスチャンさんが、思わず伏せていた頭を上げて長老を見た。


