神様修行はじめます! 其の四


「当主の容体は、いかがかのぉ?」


年寄りの男が、しゃがれた声でセキ込みながら尋ねている。


セバスチャンさんが目を伏せながら、丁寧に答えた。



「まだ復調には時間がかかるかと。わざわざのお見舞い、御礼申し上げます」


「権田原は、重要な一族じゃ。当主には一日も早く回復してもらわねばの」


「痛み入ります」


「うむうむ。くれぐれも大事にするようにな」



そう言って年寄りの男は、またゴホゴホとセキ込んだ。


さっきからずっと空咳を連発してる。


小柄で背中が丸まった小太りな、この人が大物長老か・・・。



「ねぇお岩さん、この人、見たことある?」


小声でお岩さんに聞いてみた。


お岩さんは首を横に振り、小声で答える。


「権田原の地位は、高くはありませんもの。あまりに大物の相手とは、面識がありませんわ」



そっか・・・。ということは、やっぱり大物なんだ。このおじいちゃん。


でも言っちゃなんだけど、なーんか威厳ないなぁ。


丸顔で、目がショボショボしてて、シワだらけの普通のおじいちゃんにしか見えない。


おまけにセキばっかりして、具合悪そうね。


人のお見舞いしてる場合なのかな? 早く家帰って休んだら?



「遥峰君、私のことは覚えているだろうか?」


大物長老の横に座っている若い男の人が、セバスチャンさんに話しかけた。


「君とは、同じ学問所だったんだ。私は君ほど優秀ではなくて、目立たぬ存在だったけれど」