中はまるでモグラの巣穴のように、四方に通路が枝分かれしている。
天井裏が巨大迷路になってるんだ。
どこをどんな風に進んでいるのか、あたしにはまったく見当もつかない。
でもお岩さんは、慣れた様子でスイスイ進んでいく。
「懐かしいですわぁ。子どもの頃、ここでセバスチャンとよく遊んだものですわ」
「こんな場所が、子どもの遊び場なの?」
「当主の家に生まれた子は、この道順を覚える必要がありますもの」
そんな会話をしているうちに、広い空間にたどり着いた。
細い光の筋が数本、天井板からあちこち柱のように立っている。
下の部屋の灯りが漏れているんだ。
闇に慣れた目には、おかげでずいぶん周囲が明るく見えた。
「しー・・・静かに。着きましたわ」
お岩さんが人さし指を唇に当て、小声でささやく。
「あの穴から下が覗けますの。音も聞こえますわよ」
あたしと浄火は無言でうなづいた。
向こうの音が聞こえるってことは、こっちの音も聞こえるだろう。
気付かれないように注意しないと。
音をたてないように静かに穴に近づき、そっと下の様子を覗き込む。
小さな穴なのに、意外なほど広い範囲が見渡せた。
なんか、特殊なレンズでもはめ込んでいるのかな・・・。
見える範囲には、三人の男の姿。
ひとりはセバスチャンさん。その向かい側に、ふたり。
見知らぬ年寄りの男と、その隣に、セバスチャンさんと同じくらいの年の男が座っていた。


