神様修行はじめます! 其の四


新米の術師たちは、困った様子で顔を見合わせている。


さすがに絹糸を相手に、強気の態度には出られないんだろう。


それを分かっている絹糸は、さも怒ったような声で繰り返した。



「なにをグズグスしておるかっ。はよう、戻って理由を・・・・」


「ここでその理由を知る必要は、ない」



突然あたしの背後から、聞いたことのある女性の声がした。


術師たちが一斉に床にヒザをつき、声の主に向かって平伏する。


凍雨くんまでが慌てて平伏した。



「来れば分かる。その方が、話は早い」



声を聞いた途端にあたしの体が、電気が走ったようにビリリィッ! と反応する。


ま、まさか・・・・・・


この声は!



(ウルトラ強欲因業ババーーー!?)



あの、座り女の雛型の事件で。


あたしたち全員を苦しめ、踏みにじり、陥れた。


そして敵味方のおかまいなしに、心や命までも、もてあそんだ・・・


敵方の長老のひとり、『蜘蛛の糸』を操るババ!


間違いない! 最低の中年女の声だっ!!



あたしは勢いよく振り返った。


危機感をビシバシ込めた両目に、中年の女が映る。


お供らしき女性をふたり従えて、廊下のど真ん中に突っ立ってる女。


見た瞬間、あたしの全身に、メラメラと敵対意識が湧き上がってきた。



あんたがそうだね!? 間違いない!


だってこの中で一番、偉っそーなオーラが漂ってる!


あの時は御簾越しだったから、顔はまったく見られなかったけど。


ついにご対面だ! その悪人顔、とーっくりと拝ませてもらおうじゃないの!