「石崎君、私に『念仏を唱えろ』って教えてくれたでしょう? たぶん、そのお陰で助かったんだと思うから」 そう言うと、真次くんは少し照れたような笑顔を浮かべた。 クスクス。 不意に聞こえた楽しげな子供の笑い声に、二人が一緒に病室の空きベットの上に視線を走らせる。 思わず、顔を見合わせた。 「笑われちゃった」 「ああ、今のは俺にも聞こえた」 笑顔で言う私に、真次くんが苦笑で答える。