そのあと、私は40度の高熱を出して肺炎をおこしかけ、病院に入院した。

3日3晩苦しんだ後、熱は嘘のように下がった。


「ごめん……」


熱が下がったことを聞いた真次くんが、病室に見舞いに来て第一声そう言って、すまなそうに頭を下げた。


「なんで謝るの?」


私は、妙に穏やかな気持ちでいた。


「大丈夫だと思ったんだ。あの時、坂田さんは何も見えない様子だったから、問題無いと思った。俺の考えが甘かったよ」


私には、真次くんの言っていることが理解出来た。

『あの時』とは、真次くんが部屋まで送ってくれた時、電柱を指さした時のことだ。