私は訳も分からず、真次くんが指さす先に視線を送った。 でも、何も見えない。 暗闇の中。 ポツンと電柱に付けられた街灯の薄ぼんやりとした明かりが、アスファルトに、青白い丸い光を落としているだけだ。 「?」 顔にクエスチョンマークを浮かべた私の様子を見て、真次くんが口の端を上げた。 「あのさ、今日俺が言ったこと、忘れて」 「え?」 「念仏云々ってやつさ」 「ああ、あれ……」 一応、気にしてはいてくれたんだ。