父の足下。 コンクリートの床に、銀色の鍵が落ちている。 「おおっと、いかん……」 父が荷物を抱えたまま少しかがむ。 そして、カギへ右手を伸ばした次の瞬間。 『ぐきっ!』 嫌な音が父の身体から、 恐らくは腰の辺りから上がったのを、私は確かに聞いた。 一瞬の空白。 次の瞬間「ううっ!」と言う父の呻き声と、その手から放り出された荷物が床に激突する音が、綺麗に重なった。 「お、お父さん!?」