はじまりのアリス



俺が睨み付けると日野沢はクスリと笑って、コンピューター室の壁を指さした。


「……なんだよ?」

「よく見て。あそこ」


目を細めて凝視すると、白い壁になにやら文字が。


〝裏切りものを探せ〟

走り書きされた文字で、恐らく血で書いたものだ。


……まただ。

また謎のメッセージ。

これで何度目だ?たしか最初は……。


「自分で書いたくせに忘れちゃったの?」

「は?」

俺が書いた?一体なにを言ってるんだ?


「私が色んなことを知ってるのはね……」

ぞわっとするような瞳。

日野沢は俺の胸ぐらを掴んで耳元で囁いた。


「これで6回目だもん」


日野沢の虚言を真に受けるなんてバカげてる。

でもまるで砂嵐のようにザザザーと思い出せそうで思い出せないことが頭の中を掻き乱す。


信じられるはずがない。

だけど、今まで見てきた謎のメッセージは確かにその時の出来事を暗示しているような内容で。

認めたくないけど、筆跡は俺のものによく似ていた。