はじまりのアリス



「なにすんだよっ」

「しー。黙って。気づかれちゃう」


コンピューターが並んでいるテーブルの下。

俺は日野沢に口を塞がれて、息がかかるほどの密着感。その長い足で俺が動かないように挟んでいる。


「んーんー」

必死で抵抗しようとしたけど、脅すようにスタンガンを首に当てられて俺は動くのをやめた。


「うわっ。松島が倒れてる……ってことは潤がやったってことだよな?でも潤も杏理もいない……」

正人の声。


「……ふたりともどこにいったんだろう」

ガラッとコンピューター室のドアが開く音。


たぶん美織が部屋を確認してる。

なんとか声を出そうとしたけど、グッと口を塞ぐ手を強くされてしまった。


「もしかしたら別のクラスメイトが襲ってきて逃げたんじゃ……。早川さん、とりあえずあっちに向かってみよう!」

「……う、うん」


……ああ、正人、美織……。

ふたりの足音が遠退いていく。

完全に音が消えたところで、俺はやっと日野沢から解放された。


「……ぶはっ!てめえ、どういうつもりだよっ?」

まじで窒息死する寸前だった。


「ごめんごめん」

日野沢は笑って俺から離れた。